ささやかな楽しみ

 就職してから定年後の現在までずーっと朝日新聞を購読している。大学の寮では朝日と毎日だった(就職時、求人欄にお世話になりました)。
 ここ何年間か新聞小説を読むようになった。奥泉光「新・地底探検」がきっかけだったように思う。挿絵も新聞小説の魅力の一つだ。カラーだとほんとに素敵だ。
 最近は漱石の「三四郎」や「それから」が復刻連載され、現在は「門」が掲載されている。漱石新聞小説の形式で読めることは、けっこう貴重な体験だ。それからの「美千代」や門の「御米」など控えめだが秘めた情熱を持つ女性を描いていて意外だった(漱石を身近に感じた)。

 写真は12月28日の紙面の一部だが、今一番気に入っている「文化・文芸」欄だ。近年の新聞小説では最高傑作の一つではないかと思っている「春に散る」(沢木耕太郎)が載っている。毎日楽しみにしている。獅子文六も写真入りで丁寧に紹介されている。そして「門」もある。これらの連載が、月から金までのささやかな楽しみの一つだ。

パソコンとテレビと角瓶で夜も更けゆく。