高田豊と渡

 図書館で借りた「高田渡と父・豊の「生活の柄」」を読んだ。圧巻は深川の塩崎荘という父子寮での暮らしだ。どん底からの脱出。その過程で得たであろうあたたかいマイホームや豊かさへの上昇志向といった世間の常識とは一線を画した人生観。威張らず媚びへつらわない飄々とした生き方だ。父親が一冊の私家版詩集しか残さなかった「ナマケタナマケタ、ヨソミシタ。」と自分の人生を自己認識する表現者で。息子は現代詩を唄にのせた稀有な表現者。二人がつながっていることがこの本によってはじめてわかった。

冬でも咲いている玄関のナデシコ