語るべきことがない

 水曜日、昼の宝達駅で「どうも」と声をかけられ誰だろうと思ったらS君だった。弟の同級生で保育所の頃から知っている。中学では柔道部の後輩、高校も同じだ。大学生の頃、当時私が穿いていたぶかぶかの米軍ズボンを気に入った彼に、難波の米軍払い下げ古着屋を紹介したことも覚えている(彼も早速購入していた)。確か香里園の寿司屋で酒を飲んだ気もする。彼は獣医なので柳田農高に生徒を引率した折に出会ってびっくりしたこともある(ここで働いていたのか)。ここ何年間は実家に戻ったとき道で会うとあいさつする程度であった。
 こんなところで会うとは夢にも思わなかったので、どうしてここにいるかと聞くと、宝達近くの県の畜産センターで働いているとのことだ。そして、今日は県庁で会議がありその後飲み会があるので宝達駅に車を置いて電車で金沢駅に向かうところだとのことだった。
 森本駅までの40分くらい話をした。彼は弟の事、畑での野菜作りとイノシシ問題、高校同窓会で我が職場の校長にあった事、還暦を迎え中学の同窓会をした事などぽつぽつと話した。私は彼に対しこれといって話すべきことも話したいこともなく、自分がつまらない人間に思えて仕方がなかった。語るべきことがないとはなんと寂しい人生なんだろうか。今日の弁当でも語るしかないトホホ。

 
 塩鮭、ソーセージ炒め、揚げ生姜焼き、卵焼き