ヒロシショック

 朝一の新幹線で来て最終の新幹線で娘が帰った。慌ただしいことこの上なし。今日は娘と珠洲までドライブだ。金沢から片道130キロ、時間にして3時間(何しろ休み休みの運転だから)。昼食何にすると言いつつ12時頃珠洲に到着し、娘がスマホで調べたラーメン屋へ行くことにした。
 看板も暖簾もない店らしいよ、それでもいいって聞くので「ええよ」と言ってカーナビの指示する場所に到着した。能登の田舎でもボロいといってもいいような民家の、脇の道路に車が2台止まっている。外壁のトタンがさびている。ほんとにこれがラーメン屋かと半信半疑で、娘を偵察に出す。引き戸を開けて店に入った娘が「休みじゃなかったよ。路駐していいって」というので私も店内へ。


 第一印象はびっくりするくらいぼろぼろ。先客が二人、無言でラーメンを食べている。お品書きを見てびっくり、ラーメン350円、タンメン450円、五目ラーメン500円・・・。私は五目ラーメン、娘はタンメン。焼メシ450円を注文しようか悩みつつ待つ内に、五目がヘイお待ち。娘が店主に写真撮ってもいいですかと聞くと、今時許可を求める客は珍しいと言いつつ許可してくれた。娘がわが五目を見て、一口スープの味見をと言うと、野球帽の店主(見た目70歳)が「タンメンと同じスープだよ。具が違うだけ」と教えてくれた。50円の差で具は大違いだ。五目VSタンメンは五目のストレート勝ち。メンマ、温玉、タケノコ、きくらげ、焼豚が五目にあってタンメンになし。味は優しい塩味で野菜もしゃきしゃきで申し分無し。それに量もすごいので焼メシは結局注文せんかった。

 そのうち、今日は空いててラッキーと言いつつ来店した客が大盛り焼そばを注文。店主が「議会は如何した」と聞くと客が今日は無しと答えるので振り向いてみたらスーツの議員風の人だった。すると新たに作業服の二人連れが来店。「店の横の道路に駐車してもいいですか」と聞いている。道の真ん中以外はOKと奥さんが返答。その客は「広東メン」を注文。広東メンってどんな麺?。
 それにしてもだ。何で看板がないのだ。店名はホントに「ヒロシ」なのか。それよりもなによりも昭和30年で時間がストップしたままじゃないか。美味くて安くて汚くて、こんな奇妙な体験は初めてだ。大満足で店を出ました。娘曰く「トイレはぼっとんだった。」ヒエー。