小説を読んで

「昨日のつまみ」
 粟餅の雑煮。
 奇跡の一杯だった。餅好きの妻が芋焼酎を飲みながら作った雑煮、大根・人参・シメジ・鶏肉・牛蒡・三つ葉・柚子が入っている。上品な味、抑えた甘さ、粟餅の焼き加減が最高。酔っ払って作ったので、同じ物はもう二度と作れませんとのこと。出汁・みりん・砂糖などで味付けしたとのこと、今まで食べた中で一番うまかった。正月に自分で作った雑煮がおいしくなかったせいで、もやもやした嫌な気分がずーっと胸の奥にあった。そのわだかまりがすっきりと晴れ渡りました。美味しい雑煮でようやく二〇一六年のスタートが切れた気分です。餅好きの妻に感謝です。


 「抱く女」桐野夏生を読了。「消耗する」「プチブル」「ブント」「ノンポリ」ETC、死語と化した言葉がよみがえる。雀荘・ジャズ喫茶・内ゲバベルボトム・長髪・アーミージャケット。学生運動の大学生活。自分の居場所を求める直子の危うさと行動力。変化する時代の中で心の安定を求め動き回る登場人物たち。同時代を生きた私にとって、この本は青春小説の傑作です。
 今までの自分ならこうして読了してそれなりに面白かった本は書棚にとって置くのが当たり前だった。けど、行先短い今となってはもう再読することもないのでどんどん処分しようと思っている。逢坂剛も垣根諒介も処分だな。小林信彦はまだ処分保留。食べ物関係もそろそろ整理の時期かな。

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