通勤読書

「今日の弁当」卵焼き、赤ウインナー、加賀揚げ、巨峰、炊き込みご飯

井上靖「風濤」☆☆☆
元寇を高麗の立場から見た小説。「風濤険阻ヲ以て辞ト為スナカレ」フビライの命で翻弄される高麗の苦難。李蔵用、金方慶の宰相二人が元宗、忠烈王に尽くす忠義を史料を駆使して描き切る。元寇と言えば神風、あるいは激しい戦いの描写が定番だが、それらは全く書かれることなく、ただただ高麗王からフビライへの嘆願とフビライからの過酷な命令を軸に13世紀の東アジアの歴史を切り取っている。視点の新鮮さに驚いた。