私のう歴書

 ラズウェル細木「う」を読むとモーレツに鰻が食べたくなる。子どもの頃は肉の脂身やニンニクや刺身と並んで鰻も嫌いだった。大学生で一人暮らしをするようになってからいろんなものを食べられるようになった(うなぎもその一つ)。20代初めの記憶は3つある。ひとつは、大阪の立ち食い屋台風の店で食べた450円程のうな丼。確か表面はごはんだけで、中に二切れほどまぶしてあったように思う(それにしても安かった)。二つ目は、京橋で食べたうな丼。こちらは1000円前後で表面にたっぷりとかば焼きが乗ったオーソドックスなもので大変おいしかった記憶がある(これで鰻に目覚めたのだろう)。三つ目は、七尾の新公楽で食べたうな丼。一人でぶらりと入ると、親戚のおじさんとその息子が食べていてびっくりした。あと一つ、最も強烈な記憶は、子どもの頃家の五右衛門風呂に(底の円周の7割がたを占領)鎮座する鰻を見たことだ。父が川から捕まえてきたらしい。夜に父は時々鰻を撮りに七尾の川へ出かけていたらしい(一度連れて行ってもらったことがある)。風呂の大うなぎは翌日母がかば焼きにして食べた。